常識をわきまえた榎木津 姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏
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 京極ワールドというより実相寺ワールドと表現した方がふさわしい作品。ウルトラシリーズを除く実相寺昭雄の作品では、「帝都物語」や「屋根裏の散歩者」、「ラ・ヴァルス」くらいしかまともに見た記憶はないが、それでも独特の質感やカメラワークは強く印象に残っている。京極堂シリーズのセピア色の世界と重ならないこともないのだが、原作の持つ情報量の多さに裏打ちされた重厚感は影を潜めてしまった感がある。
 とはいえ、あれだけの原作をよくもこれだけコンパクトにまとめたものだ。「ダヴィンチ・コード」もダン・ブラウンの情報量の多い原作をスピーディに展開することで強引にまとめ上げたが、この作品の場合は、ある意味で原作の緻密な謎解きは隅に追いやり、それらしい雰囲気だけで最後まで突っ走ってしまった。そこが原作のファンとしては嬉しくもあり、裏切られた気持ちにもなる。
 堤真一や阿部寛などのキャストは、作品を見るまではなかなか考えた配役だと思えたのだが、実際に動き出し、しゃべり出したのを見ると違和感は強い。永瀬正敏演じる関口のおどおどしたところは感じが出ているが、中禅寺はうんちく以外をしゃべりすぎだし、宮迫演じる木場修には原作にある暗さと暴力性が感じられない。そして、何より残念なのは、中心人物ともいえる榎木津が常識をわきまえていることだ。霊感探偵・榎木津礼二郎は周囲とまともなやりとりができないからこそ魅力的で、彼の超人性が説得力を持つのだ。阿部寛をキャスティングしたのは悪くない思いつきだと思うのだが、「自虐の詩」に続いて彼のイメージを崩すような破天荒な演技が見たかった。
 それ以外のキャストでは、「ゲゲゲの鬼太郎」以来すっかりファンになった田中麗奈は言うまでもなく、原田知世が美しかった。pupaのアルバムを買って原田知世のボーカル曲が少なかったので残念な思いをしていたのだが、彼女の魅力を堪能できて嬉しかった。

京極堂ツイン・パック「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」
ジェネオン エンタテインメント
2008-06-25

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