本格推理ではないけれど 『街の灯』

『街の灯』 北村 薫
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 直木賞を受賞した北村薫の『鷺と雪』のシリーズ第1作にあたるのがこの作品。舞台は昭和初期の東京、士族の令嬢・花村英子とそのお抱え運転手・別宮みつ子(ベッキーさん)が、周辺に起こる事件の謎を次々に解いていく。探偵役は英子であるが、彼女に重大なヒントを与えるのがベッキーさん。このベッキーさんは、当時としては珍しく、女性でありながら運転手をしているだけではなく、武道の達人でもあり、拳銃の扱いにも精通している男装の麗人。物語は英子の視点で語られるが、女学生とはいっても、抑制の効いた語り口なので、ベタベタしていないところがいい。「本格推理」というには多少物足りないが、キャラクターにおんぶに抱っこというわけではなく、時代背景もしっかり書き込まれているので読み応えがある。『玻璃の天』や『鷺と雪』は文庫化されてから読もうと思っていたが、『街の灯』を読み終えたら、すぐに次が読みたくなってしまった。

街の灯 (文春文庫)
文藝春秋
北村 薫

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