誰に共感すればいい? 悪人

悪人

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 1年に1度と言ってもいい、映画を劇場で見なければならない日に選んだのがこの作品。最初は絶対にDVDを購入しないであろう「踊る大捜査線」や、大きなスクリーンで見てみたい「バイオハザード」あたりを考えていたが、深津絵里がモントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞したことや「愛のむきだし」でファンになった満島ひかりが出ていることから、この作品を見ることに決めた。
 お目当ての満島ひかりは、可愛いのだけれど、裏に回ると何を言っているかわからない少し怖い女性がはまり役。被害者役なのでそれほど多くの出番は期待できなかったが、それでも予想通りのキャラクターで、彼女の魅力は十分に堪能できた。サービスショットが携帯動画だけというのはやや残念。
 また、深津絵里は素顔をさらしての(もちろん、メイクなのだが)熱演。完全に妻夫木聡の影が薄くなってしまった。もっとも、映画のストーリーからすれば、彼女が主人公といってもよく、寂しい生活を送っていた光代が知り合って間もない祐一に惹かれていく必然性が、彼女の巧みな演技によって十分に説得力を持ち得たように思う。
 一方、かなり気合いを入れて臨んだことが伺える妻夫木聡だが、祐一の内面を表しきれないまま殺人を犯してしまった感が強く、同情もしにくく、そうかといって「悪人」とも思えないという宙ぶらりんな状態になってしまった。冒頭で、不器用ながらも優しさを持ち、見る者に共感を抱かせるような描かれ方がされていれば少しは違ったのだろうが、台詞も少なく、妻夫木聡の演技だけにそれを求めるのは難しい。結局、この作品は感情移入する対象を見つけられないまま終わってしまったために、見終わっても満足感は得られなかった。
 柄本明、樹木希林など共演者の演技は素晴らしく、特に後半の柄本明の台詞には胸を打たれた。「守りたい人を持たなくなった現代人」という指摘には、つくづく考えさせられる。また、最近では女性版の香川照之と言ってもいいほど多くの作品に出演し、脇役として存在感を見せている余貴美子も、短い出演シーンながらいい芝居をしていた。

作品データ
監督:李相日 出演:妻夫木聡、深津絵里他 製作年:2010年 製作国:日本


悪人(上) (朝日文庫)
朝日新聞出版
吉田 修一

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