家政婦ハンナに注目せよ 『愛おしい骨』

『愛おしい骨』 キャロル・オコンネル(創元推理文庫) Bone by Bone Carol O'Connell 

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 十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように保たれた家。誰かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつずつ置いてゆく。何が起きているのか。次第に明らかになる、町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。(文庫カバーのあらすじより)

 主人公のオーレンを始めとして、登場人物がことごとく個性的で魅力的。弟の失踪の鍵を握るオーレン自身が、失踪当時の状況を語らない点は違和感をおぼえるものの、緻密な構成は見事。大勢の登場人物がパズルのピースとなり、物語が進むに従って少しずつ組み合わさり、全体像が見えてくる。脇役も含め、この二十年間を通して失踪事件に無関係な人間は1人もいないといっていいのだが、後半になっても散漫になることなく、最後にしっかりまとめ上げる筆者の手腕にただただ驚嘆するばかりだ。また、英語については門外漢だが、職業として日本語に携わっている私の目から見ても翻訳者である務台夏子の筆力も確かである。
 登場人物の中でもっとも魅力的なのはオーレンの家に古くから務める家政婦のハンナ。本当の名前も過去も不明なのだが、彼女が町の人々を動かして最終的に事件を解決に導く。小さな町を舞台にしているので続編は望めないが、元敏腕捜査官オーレンと家政婦ハンナのコンビで、難事件を解決していくミステリーを再び読んでみたいものだ。


愛おしい骨 (創元推理文庫)
東京創元社
キャロル・オコンネル

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