面白いけど徒労感も バリー・リンドン

バリー・リンドン BARRY LYNDON
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 アイルランドの農家に生まれたレイモンド・バリーが英国貴族として成り上がっていくさまを描いた一代記。「虚栄の市」のサッカレーの原作をキューブリックが映画化したもので、アカデミー賞の美術監督・装置賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編曲賞を受賞している。18世紀のヨーロッパがキューブリックの徹底したこだわりの中に描かれ、ストーリー以上に映像と音楽に圧倒される。
 3時間を超える大作であり、全体として見ると決してサクセス・ストーリーではない。ある程度の我慢が必要な作品かもしれないが、断片的に見ると非常に面白く、惹きつけられる。ライアン・オニール演じるバリーは、初恋の相手である従姉妹を巡る争いがもとで故郷を追われ、七年戦争に参加して実力を認められたかと思うと軍隊を脱走してプロイセンの軍隊に身を寄せる。戦功をあげてプロイセン警察のスパイとなるが、二重スパイとして同郷の詐欺師と行動を共にし、欧州を回るうちにレディ・リンドンと出会って結婚し、社交界で成り上がっていく。
 バリーはそれほど才覚に秀でているわけでもなく、その行動も行き当たりばったりなのだが、運命が彼を放っておかない。運命に身を任せて漂流していくところが、他力本願の私自身にとっても感情移入できるところで、彼の人柄には共感できないものの、ついつい彼の運命を追いかけてしまう。しかし、最後まで見終わったときにカタルシスは感じられなかった。出世欲は強いものの、そのために枠の中にはまるほど素直ではなく、自分が望んでいる立場を手に入れるために束縛されるというジレンマをバリーは生きている。そのため、成功したように見えても幸福感は感じられず、バリーの末路も描かれていないので、見る側としては最終的な「落としどころ」も見当たらないのだ。
 さすがはキューブリック!と思わせながらも、徒労感がないでもない。

 余談ではあるが、バリーの晩年の姿を見て「金髪狼」ニック・ボックウィンクルを連想したのは私だけだろうか。

作品データ
監督:スタンリー・キューブリック 出演:ライアン・オニール、マリサ・ベレンソン他
製作年:1975年 製作国:イギリス


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