原作は思い出せず 蛇にピアス

蛇にピアス
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 綿矢りさの「蹴りたい背中」とともに芥川賞を受賞して話題になった金原ひとみの原作は、ふだんは買わない「文藝春秋」が発売されるとすぐさま読んだ。当時、マスコミは2人の若さと「蛇にピアス」のセンセーショナルな題材に飛びついたが、実際に読んでみると、思いの外、まっとうな文学作品であるという印象を受けたことを憶えている。ちょうど山田詠美が「ベッドタイムアイズ」でセンセーショナルに登場したときと同じで、話題性だけではなく、十分に実力も伴っていたために、かえってまとまりすぎていたような印象さえある。
 金原ひとみの意向で蜷川幸雄監督によって映画化されたこの作品は、原作に忠実に作られていると思っていいのだろうが、私は情けないことに映画を見ても原作の雰囲気をさっぱり思い出すことができなかった。大雑把なストーリーは憶えているものの、自分がどこに感心したかなどが思い出せないのだ。しかし、それはそれとして映画も最後まで面白く見ることができた。タトゥーやピアスは極端だとしても、生きている実感を痛みに求めるというのは理解できないでもない。ルイ(吉高由里子)のような女性も決して珍しくはないだろう。アマ(高良健吾)やシバ(ARATA)の考え方も外見とは裏腹にまともである。
 高良健吾やARATAの印象が強烈なために吉高由里子の熱演も影が薄くなってしまったが、ヌードも美しかったし、まさに「体当たりの演技」には拍手を送りたい。しかし、ルイの役が彼女でなければできなかったのかというとそうでもないような気がする。あびる優が出ているなら沢尻エリカあたりが適役だったかもしれない。話題性もずっと高まっただろうし。

作品データ
監督:蜷川幸雄 出演:吉高由里子、高良健吾他 製作年:2008年 製作国:日本


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