自己を見つめる 新少林寺

新少林寺 SHAOLIN ☆ 【BD】

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 アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ジャッキー・チェンという豪華キャストもさることながら、最近の中華系映画は「近代」の描き方が変わってきているのではないだろうか。以前は「前近代」に属する時代として幻想的に、あるいは戯画的に描かれることが多かったような気がするが、最近は「現代」につながる時代としてリアリティを大切にして描こうとしているように感じられるのだ。とはいえ、サービス精神が旺盛な香港映画のこと、アクションは当然として様々な要素が盛り込まれるのだが、この作品の冒頭も「これは!」と期待させるものだった。
 近代中国を舞台にしたアクション映画には日清戦争を背景にした「ワンチャイ」シリーズなど多くの作品があるが、個人的には「むかしむかしあるところに…」というファンタジックな印象が強い(もちろん、中国の人々の見方は違うのだろう)。しかし、辛亥革命から100年ということで昨年公開された「1911」や「孫文の義士団」などになると、日本を含めた欧米列強を外敵として、単純に侵略者との戦いを描くのではなく、自国を冷静に見つめようとする客観的な視点が強くなってきたような気がする。そのため、「ワンチャイ」シリーズなどはアクションに感嘆しつつも悪役として描かれた日本人を見て後ろめたさが残るのだが、後者の場合は時代や国を超えた普遍的なテーマに成り得たのではないだろうか。

 この作品も、後半になってゴチャゴチャしてしまった点は惜しいものの、「勧善懲悪」や「絶対的正義」を描かないところに奥深さがある。初めて正式に少林寺の協力を得て作られた映画であり、キャストもベテランが多く、お互いに共演経験が豊富なために息もぴったりという感じ。何より実際の少林僧が出演していることで、ぴーんと張り詰めた少林寺の雰囲気にはリアリティがあった(もっとも、劇中の武術は少林拳をアレンジしているらしい)。ジャッキーがアクションを封印したことも、彼のアクションの源流をたどれば納得でき、本格的な少林拳のイメージからは距離があるように感じられたアンディ・ラウやニコラス・ツェーもアクション面でも大健闘。ウー・ジンやシー・イェンレンなど脇をしっかり固めたことで、ドラマとアクションのバランスがうまく保たれた。
 ラストは救いがあるような、ないような微妙な結末。外国軍の砲撃によって少林寺を炎上させたのはどうかと思ったが、ハッピーエンドはあり得ず、誰かを勝者にするわけにはいかなかったのでやむを得ないか。
 1982年のオリジナル「少林寺」に感動した40代以降の人々は、この作品をチェックしないわけにはいかないだろう。


作品データ
監督:ベニー・チャン 出演:アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ジャッキー・チェン他
製作年:2011年 製作国:香港、中国


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