アクションも充実 カルテ番号64

『特捜部Q-カルテ番号64-』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 
ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田薫訳 ☆

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 「特捜部Q」-過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。「Q」が今回挑むのは、八〇年代に起こったナイトクラブのマダムの失踪事件。アサドとローセの調査によるとほぼ同時に五人もの行方不明者が出ているという。カール・マーク警部補は大事件の匂いを嗅ぎつけ捜査に着手。やがて、壮絶な過去を持つひとりの老女と新進政党の関係者が捜査線上に浮かび上がってくるのだが……。デンマークを代表する文学賞「金の月桂樹」賞受賞!世界的ベストセラー人気警察小説シリーズ、待望の第四弾!(裏表紙の内容紹介による)

 休暇など、まとまった時間が確保できそうなときに手に取るのはやっぱりミステリ小説。ハヤカワ・ポケット・ミステリはポケットに入らない厚さで値段も2,000円を超えるが、中身については裏切られることがない。

 スティーグ・ラーソンのミレニアム・シリーズに続いてハマっているのが、この特捜部Qシリーズである。集中して読んでも、2、3時間では半分も読み進むことができないボリューム感と、個性的なキャラクターが読書の楽しみを十二分に味わわせてくれる。今回は特捜部Qの名脇役の2人、アサドとローセが大活躍し、さらにカールのトラウマとなった釘打ち機事件にも新たな展開が見られるなど、前4作に比べても物語は激しく動いている。また、映画化が決定したせいでもないだろうが、アクション面でもこれまでにない立ち回りがあり、想像力が大いに刺激された。

 今回の物語の背景にある女子収容所は1961年まで実際にスプロー島に存在し、収容者は不妊手術に同意しなければ島から出られなかったという。人種差別や人権侵害が決して過去のものでないことは論を待たず、外国人に対するヘイトスピーチや中国・韓国に対する極端に攻撃的な態度、女性蔑視発言などを見ると日本人にも決して無縁ではないことは明らか。根の深い問題をこのような優れたエンターテイメント作品が提起していることは非常に意味のあることだと思う。

 シリーズ第五弾の「知りすぎたマルコ」も早く読んでみたいが、次に時間が取れるのは年末年始だろうか。


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