太宰の凄さを実感 富嶽百景

富嶽百景~遙かなる場所~ ☆ 【DVD】

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 ひさしぶりに太宰治の短編小説「富嶽百景」を読む機会があり、ネットで検索してこの作品の存在を知った。「新感覚ブンガク映画」シリーズと銘打って、この作品の他にも賢治の「銀河鉄道の夜」や露伴の「五重塔」が映画化されている。「富嶽百景~遙かなる場所~」は本編56分と短いが、一応は劇場公開もされたらしい。

 小説「富嶽百景」は、愛人小山初代との自殺未遂を起こした翌年に、師である井伏鱒二の滞在する御坂峠の天下茶屋に身を寄せた太宰が、富士と向き合いながら過ごした数ヶ月間の出来事が描かれている。主人公の「私」の心境によって様々な姿に映る富士が出てくるが、その「百景」をどのように映像化するのか興味を持って鑑賞した。「新感覚」と言っているだけあって舞台は昭和13年ではなく、現代になっており、修治(塚本高史)はフード付きのパーカーを着てパソコンに向かって小説を執筆している。修治のモノローグの形で小説の数カ所が引用され、実際の「天下茶屋」でもロケをしてるようだが、やはりこれは太宰の世界ではない。面白いか面白くないかと問われれば「面白くない」と答えざるを得ない作品である。しかし、映画化された作品を見たことで、いかに太宰治が優れた書き手であるかが実感できるという逆説的な収穫はあった。この作品もまた所有することで映画マニアの自尊心を満足させる種類のものである。

 そうそう、収穫はもう一つあったのだった。小説を読んでいるときにはうかつにも気づかなかったが、茶店の娘が「私」に対して「お客さん、悪くなったね」と厳しく言うのは、「私」が見合いをしたことに怒っていたからだったのだ。小説を読んでいたときは私の想像力が追いつかなかったが、小林涼子の演技で初めて納得がいった。

 作品データ
監督:秋原正俊 出演:塚本高史、田丸麻紀他
製作年:2006年 製作国:日本


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