インド映画だからこそ描けた マイネーム・イズ・ハーン

マイネーム・イズ・ハーン MY NAME IS KHAN ☆ 【DVD】

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 国連が日本に横行するヘイトスピーチに対して法的規制を勧告した。自由を重んじる欧米から見ても日本のそれは「言論の自由」を超えたものに見えるに違いない。この件に関してだけは橋下大阪市長に賛同するのだが、品位に欠けることは言うまでもなく、「在特会」を始めとする人々は攻撃する相手を間違えている。また、同質性が高く、異文化との衝突が少ない日本の歴史が、感情的な排他主義の根っこにあるのか、もはや「主張」ではなく、「いじめ」になってしまっている。ヘイトスピーチが横行する現在の日本で、苦しんでいる人たちを救うにはどうしたらいいのだろうか。

 インド映画「マイネーム・イズ・ハーン」は、9.11同時多発テロの直後に起こったイスラム教徒へのヘイトクライムや人権侵害がテーマになっている。インド映画が歌も踊りも封印して社会的なテーマに真正面から取り組み、見事に成功を収めた傑作である。

 アスペルガーのリズワン・ハーン(シャー・ルク・カーン)は、移住したアメリカでシングルマザーのマンディラ(カージョル)と出会い、結婚する。息子のサミールもリズワンに懐き、幸せな生活を送っていたが、同時多発テロが起こると、イスラム教徒であるリズワンの「ハーン」という姓に変わっていたサミールは、上級生のいじめを受け、事故死してしまう。リズワンは、自分と結婚したことを悔やむマンディラに、大統領に会って自分はテロリストでないことを伝えてくると言って米国横断の旅に出る。

 ストーリーを読んだだけでも目頭が熱くなるが、分かっていても感動せずにはいられない。ボリウッドの大スターであるシャー・ルク・カーンが、アスペルガーの主人公リズワン・ハーンを熱演。彼の演技力は凄いの一言! さらにリズワンを支える周囲の人々の描き方もリアリティがあり、特に、リズワンを理解し、愛するようになるマンディラを演じたカージョルがすばらしい。映画にありがちなご都合主義でアスペルガーのリズワンを愛するのではなく、彼の純粋さや優しさをしっかり見ているのだ。サミールが亡くなる場面や、リズワンとカージョルの別れの場面は胸が張り裂けそうになるが、その一方でアメリカ横断の旅に出たリズワンは多くの人に助けられることになる。いまでもアメリカにはヘイトクライムや人権侵害に苦しむ人が多いのだろうが、おそらく彼らに手を差し伸べる人たちも少なくはないのだ。

 1年ほど前から盛んにインド映画を見るようになったが、この「マイネーム・イズ・ハーン」も多くの人に見てもらいたい作品であり、この作品を見ずにインド映画を語っていたことが恥ずかしくなるほど、優れた作品である。

作品データ
監督:カラン・ジョーハル 出演:シャー・ルク・カーン、カージョル他
製作年:2010年 製作国:インド


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