重いが目を離せない スリー・ビルボード

スリー・ビルボード THREE BILLBOADS OUTSIDE EBBING MISSOURI ☆ 【BD】

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 第90回アカデミー賞の6部門で7つのノミネートを受け、主演のフランシス・マクドーマンドが主演女優賞、サム・ロックウェルが助演男優賞に輝いた2018年のアメリカ映画。2018年度「キネマ旬報」外国語映画ベストテンの1位にも選ばれた話題作である。

 ミズーリ州の田舎町エビング郊外の道路沿いに3枚の広告看板(ビルボード)が立った。そこには地元警察への不信感に満ちたメッセージが掲載されていた。広告主はミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)で、彼女の娘アンジェラは7か月前に看板のある場所でレイプされたのちに焼き殺されていた。いっこうに犯人に結びつく手がかりを得られない警察に怒りを抱く彼女は、警察署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)や彼の部下ディクソン(サム・ロックウェル)、署長を支持する住民たちと対立することになるが、頑なに意志を貫こうとする。
 
 ひさしぶりに鑑賞した社会派の作品で、レイプ殺人とそれに対する警察の対応、警官による人種差別、末期がんなど、重苦しいテーマを扱っているために身構えてしまったが、予想に反して軽やかな作風。登場人物の台詞や行動にブラックな笑いを交えていることに加え、登場人物に本当の意味での悪人がいないということも大きい(レイプ犯は除いて)。確かに前半はウィロビー署長や暴力警官ディクソン、彼の母親に反感を覚えるものの、物語が進むに従って彼らの行動も(納得はしないが)理解できてくる。逆に主人公のミルドレッドの行動も、娘を殺されたからといって全て肯定的に描かれているわけではない。登場人物の極端な行動を描きながらも、全体として「良識」のバランスが取れているので、観客に回答を委ねたラストシーンも後味が悪くならなかった。アメリカ映画だからといって、全てが復讐劇というわけではないのだ。

 話は変わるが、この作品の中で掲げられた「スリー・ビルボード=3枚の広告看板」も「表現の自由」の問題を孕んでいる。当然、「表現の自由」は無制限に許されるものではなく、立場によっても意見は異なるだろうが、ミルドレッドが広告を出したことによって正しい方向に動き出したものがあることは確かだ。そう考えると、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展が議論を経ることなく中止に追い込まれたのは残念な気がする。

作品データ
監督:マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル他
製作年:2017年 製作国:アメリカ


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