リリーとさくら 寅次郎ハイビスカスの花[特別篇]

はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花[特別篇] ☆ 【BD】

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 主演の渥美清は前年に他界していたが、「男はつらいよ」の再開を待望する声に応え、満男が回想する形で25作目の「寅次郎ハイビスカスの花」を再構成し、1997年に公開されたシリーズ49作目。再構成やCG合成の手法は、2019年に公開されたシリーズ50作目の「お帰り寅さん」にも引き継がれている。 

 営業職で全国を飛び回る満男(吉岡秀隆)は、同じく旅の空の下にいるであろう叔父の寅次郎(渥美清)の思い出を振り返る。ある日、柴又に帰っていた寅次郎のもとにリリー(浅丘ルリ子)から速達が届く。リリーが沖縄で病のため入院したことを知った寅次郎は、大嫌いな飛行機で沖縄へと向かう。寅次郎との再会を喜ぶリリーの病はやがて快復し、退院後は漁師町で間借りをして2人の生活を始める。お互いを意識する2人だったが、寅次郎の煮え切らない態度に腹を立てたリリーは書き置きを残して沖縄を去り、寅次郎もあとを追うように沖縄を離れ、飲まず食わずで柴又にたどり着くと行き倒れとなり、柴又は大騒ぎになる。沖縄での様子を聞いたさくら(倍賞千恵子)たちは、寅次郎にリリーと一緒になることを勧めるが、柴又で顔を合わせた2人はお互いの思いを冗談で紛らわし、またそれぞれの旅に出る。

 1986年の「幸福の青い鳥」から「男はつらいよ」シリーズを見始めた私は、新作が公開されると映画館に足を運び、並行してレンタルビデオで過去の作品を遡って鑑賞していた。当時大学生だった私が寅さんに魅力を感じたのは、相手のことが好きで、しかも相手が自分に好意を寄せていると気づきながらも一歩踏み出せない寅さんに共感をおぼえたからだと思う。「相手の幸せを考えて」というのは自分に都合のいい言い訳に過ぎないのだが、意気地のない私も、当時付き合っていた女性に対して同じように思い込もうとしていたような気がする。

 シリーズの中でも傑作とされる「寅次郎ハイビスカスの花」は、最新作の「お帰り寅さん」でも多くの印象的な場面が引用されているが、なるほど、何度見ても切なく悲しく、そして同時に心温まる作品だった。寅さんが、最高の相手であるリリーと思いを最接近させながらも、結果的には再び別れてしまう。寅さんがマドンナから好意を寄せられるパターンは何作かあるが、劇中でさくらが語っているようにリリーはダメなところもよくわかった上で寅さんを受け入れてくれる。寅さんが一緒になるとすればリリー以外には考えられないのだが、残念ながら遺作となった「寅次郎紅の花」ではその望みをつなぎながらも2人はまたそれぞれの道を歩むことになる。しかし、もし2人が一緒になってしまったらシリーズは完結してしまっただろうし、寅さんが私たちの心の中で永遠に旅をし続けることにはならなかったのだろう。

 それにしても、当時40歳の倍賞千恵子と浅丘ルリ子は、表現のしようがないほど美しく魅力的。単に外見の問題ではなく、さくらとリリーを演じきった彼女たちの演技力がそうさせるのだろうが、特に2人が会話を交わすシーンは、何度見ても胸がときめいて画面から目が離せない。時代が違うといってしまえばそれまでだが、彼女たちのようなタイプの女優はもう現れないのかもしれない。

作品データ
監督:山田洋次 出演:渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子他
製作年:1997年 製作国:日本

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